あまり言われていないことですが組織開発ではとても重要な考えです。貴方は答えられるでしょうか?
(質問1) リーダーシップとマネジメントの違いは何ですか?
(質問2) リーダー・管理職に求められる4つの力とは何ですか?
この2つの質問に対して答えをお持ちでしたら、おそらく優秀なリーダーかマネージャーの方であると思います。
もし、回答に戸惑ったとしたら、普段の部下への指導や育成で困っていることがあるのではないでしょうか。
リーダーシップとマネジメントの違い
まずリーダーシップについてです。リーダーシップはよく使われる言葉ですがよりわかりやすい日本語にすると、「リーダーの特性」「リーダーらしい振舞い」です。そして、リーダーとはリードする人、すなわち導く人、引っ張る人、他者の行動を誘因する人です。つまり、その人の言動や振舞いが他者に影響を与えれば、リーダーシップを発揮したことになります。
もともと日本は儒学の影響が強いですから、リーダーは君子であり、他者の模範となり、率先垂範して高い影響力を持ってメンバーを導く存在であるという考えがあります。そのために、リーダーとはどうあるべきか、どのような振舞い・考え・態度でいれば周囲への影響力を高めて人が動いてくれるのか、人がついてきてくれるのか、などを学ぶリーダーシップ研修が多いのですね。もちろん、リーダーシップを学ぶことや身に着けることはとても重要です。この後のマネジメントもリーダーシップ無くしては為し得ないことと言えるでしょう。
では、マネジメントとは何でしょうか。多くの方が、マネジメント=管理すること、と捉えているようですが、”manage”には「なんとかして~する」という意味がありますので、マネジメントは「なんとか旨く統制をとっていくこと」と言えます。
それと、敢えてここで「管理」の意味についても考えたいと思います。辞書には、「よい状態であるように気を配り、必要な手段を使ってとりさばくこと」または「ある規準などから外れないよう、
マネジメント研究の第一人者であるピーター・ドラッカーは、マネジメントを「企業が求める成果を組織が出すための機能」と言っています。
つまり、マネジメントとは求める成果を出すために組織として統制を取ることと言えるでしょう。もし、それが「管理」という言葉であったとしたら、計画管理や行動管理ではなく、成果管理や業績管理を指すのではないでしょうか。必要以上に報連相や手順通りを求めても、それで成果がでなければマネジメントができているとは言えません。一方で、成果がでるように組織を統制できているのであれば、行動管理が緩かろうが厳しかろうがマネジメントできていることになるのです。
どうしたら、求める成果を出すために組織やチーム、部下に動いてももらうのか、そのためにどのように働きかけるのかを学ぶのがマネジメント研修なのですね。
いかがでしょうか? これでリーダーシップとマネジメントの違いはご理解いただけたでしょうか?
では質問2に移りたいと思います。
リーダー・管理職に求められる4つの力
リーダーには、4つのリーダーシップ領域がありそのすべてのリーダーシップを組織として満たす必要があるという考えです。
その4つの領域とは、ビジョンリーダー、ゲームリーダー、ドリルリーダー、チームリーダーを指します。
ビジョンリーダーとは、チームがどちらの方向に進むのかという行き先を示すリーダーシップを発揮する人のことです。理想像や将来像などの状態や時期などビジョンとして語り、メンバーを導いていく役割を指します。この領域は、一般的にリーダーシップの中に組み込まれていることが多いですね。
ゲームリーダーとは、ゲームに勝つために統率をとるリーダーシップを発揮する人のことです。仕事で言えば、組織として成果を出すためにメンバーがどう動かせるか、つまり先述したマネジメントの領域とも言えるでしょう。
この2つのリーダーシップは、よく意識されることかと思います。リーダーや管理職たるもの組織の成果に責任を持たなくてはならないという認識。組織やチームメンバーに方向性を示さなくてはいけないという認識ですね。
そして、ドリルリーダーとは、メンバーを育成するリーダーシップを発揮する人のことです。学習ドリルという言葉は聞かれたことがあると思います。drillには、演習や訓練という意味があります。この領域は、トレーニングの領域とも言えます。
最後の、チームリーダーとは、チームが機能するためにチームの状態を良くするためのリーダーシップを発揮する人のことです。組織の空気感や人間関係、一体感などの状態を最良にするための領域です。これはチームビルディングという領域です。
つまり、リーダー・管理職は、リーダーシップ(ビジョン)、マネジメント、トレーニング、チームビルディングの4つの領域を学んでおく必要があるということになります。